総合型選抜を考え始めると、必ず出てくるのが「併願できるのか」という疑問です。第一志望に挑戦したい気持ちはある。でも一本に絞って、うまくいかなかったときが怖い。そう感じるのは自然なことです。
結論から言うと、総合型選抜は併願できます。ただし、できるかどうかを決めているのは国のルールではなく、志望する大学の募集要項です。この記事では、募集要項のどこを見れば専願か併願かを自分で判断できるのか、そして併願を組むと何が起きるのかを整理します。
代表 長岡「併願できる大学一覧」を探す前に、志望校の募集要項を開いてみてください。答えは必ずそこに書いてあります。
総合型選抜は併願できる。ただし条件は大学ごとに違う


まず、いちばん誤解されやすいところから整理します。「総合型選抜は専願だから、受かったら必ず入学しなければいけない」と聞いたことがあるかもしれません。これは半分正しく、半分は間違いです。
文部科学省の実施要項に「併願禁止」のルールはない
大学入試の共通ルールは、文部科学省が毎年出す「大学入学者選抜実施要項」で決まっています。2027年度入試であれば、2026年5月29日に公表された令和9年度版がそれにあたります。
この要項を実際に読むと、総合型選抜について定められているのは、選抜の趣旨と日程の枠です。「他大学との併願を禁止する」といった記述はどこにもありません。
総合型選抜については、一般選抜とは異なる観点や方法により時間をかけて丁寧に選抜を行うため、入学願書受付を令和8年9月1日以降とし、その判定結果を令和8年11月1日以降に発表する。
つまり、併願できるかどうかは国が決めていません。決めているのは大学です。
それでも「総合型選抜は専願」というイメージが広まっているのは、専願を条件にしている大学が実際に一定数あるからです。
とくに、大学が求める学生像に合うかどうかを時間をかけて見る選抜ほど、入学の意思を条件にする傾向があります。ただしそれは「総合型選抜だから」ではなく「その大学がそう決めているから」です。ここを分けて考えられると、志望校選びの見通しが変わります。
専願かどうかを決めているのは各大学
総合型選抜は、大学が求める学生像に合う受験生をじっくり選ぶ入試です。だからこそ大学側は「本当にうちに来てくれる人か」を重視し、その意思を出願条件として求めることがあります。これが「専願」です。
一方で、受験生の選択肢を狭めない方針をとり、併願を認めている大学・学部もあります。同じ「総合型選抜」という名前でも、条件はばらばらだと考えてください。
「専願」が実際に意味していること
募集要項で専願とされている場合、多くは次のような意味を含んでいます。
- その大学を第一志望として出願すること
- 合格した場合は、所定の期日までに入学手続きを行うこと
- 合格後は、他大学の同種の選抜を辞退すること
重要なのは、専願かどうかが「入試方式の名前」ではなく「出願資格の文面」で決まっている点です。名前だけを見て判断せず、必ず文面を確認します。
募集要項のどこを見れば専願か併願かが分かるか


ここがこの記事のいちばん大事なところです。併願できる大学の一覧は毎年変わりますが、見分け方は変わりません。自分で読めるようになれば、志望校が変わっても対応できます。
出願資格の欄に出てくる表現を見る
募集要項を開いたら、まず「出願資格」または「出願にあたっての注意」の項目を探します。そこに次のような表現があれば、専願と考えて間違いありません。
| 募集要項の表現 | 読み取れること |
|---|---|
| 本学を第一志望とする者 | 専願。合格したら入学する前提での出願 |
| 合格した場合は入学することを確約できる者 | 専願。辞退が想定されていない |
| 合格した場合は必ず入学する意思のある者 | 専願。誓約書の提出を求められることがある |
| 本選抜に合格した場合、他大学等を受験しないこと | 専願。合格後の他大学受験も制限される |
| 他大学との併願を認める | 併願可。ただし手続き期日は別途確認が必要 |
| 専願・併願に関する記載がない | 判断保留。大学へ直接確認する |



「第一志望」「確約」「必ず入学」。この3つの言葉を探すつもりで募集要項を開いてください。あるかないかで判断できます。
表現が少し違っても、意味するところは同じです。「第一志望」「確約」「必ず入学」という言葉が出てきたら専願だと判断してください。
学部・学科・方式ごとに条件が違う
同じ大学でも、学部によって専願と併願が分かれることがあります。さらに、同じ学部の中でも「Ⅰ期日程」「Ⅱ期日程」「自己推薦型」「基礎学力試験型」のように複数の方式があり、方式ごとに条件が異なる場合があります。
「この大学は併願OK」と大きくまとめて覚えてしまうと、ここで取り違えます。確認する単位は、大学ではなく、自分が出願する方式です。



「この大学は併願OK」で覚えるのがいちばん危ないです。確認するのは大学ではなく、あなたが出す方式ですよ。
読んでも判断できないときは大学に直接聞く
募集要項に専願とも併願とも書かれていないことは、実際にあります。その場合は推測せず、大学の入試課やアドミッションセンターに問い合わせてください。
聞き方は具体的にします。「総合型選抜は併願できますか」ではなく、「◯◯学部の総合型選抜Ⅰ期に出願予定ですが、他大学の総合型選抜と併願して差し支えありませんか」と、学部と方式まで伝えると正確な答えが返ってきます。
総合型選抜の併願で押さえておく日程の枠【2027年度入試】


併願を組めるかどうかは、気持ちの問題ではなく日程の問題です。まず全体の枠を押さえます。
出願は9月1日以降、合格発表は11月1日以降
令和9年度の実施要項では、総合型選抜の願書受付は2026年9月1日以降、判定結果の発表は2026年11月1日以降と定められています。どの大学も、この枠の中で日程を組みます。
学校推薦型選抜は1か月ずつ後ろにずれる
同じ要項の中で、学校推薦型選抜は願書受付が2026年11月1日以降、合格発表が2026年12月1日以降と定められています。総合型選抜のちょうど1か月後ろです。
| 選抜 | 願書受付 | 合格発表 |
|---|---|---|
| 総合型選抜 | 2026年9月1日以降 | 2026年11月1日以降 |
| 学校推薦型選抜 | 2026年11月1日以降 | 2026年12月1日以降(一般選抜試験期日の10日前まで) |
この1か月のずれがあるので、総合型選抜と学校推薦型選抜を組み合わせる併願は、日程の上では成立します。
学年ごとの動き方は総合型選抜のスケジュール完全ガイドで詳しく整理しています。
併願すると何が重なるのか
問題は発表の日ではなく、その手前です。9月から10月にかけて、次のことが同時に進みます。
- 志望理由書・活動報告書などの出願書類の作成と提出
- 大学ごとに異なる小論文やプレゼンテーションの準備
- 面接の練習
- 学校の授業・定期考査・部活動
- 一般選抜も見据える場合は、その勉強
併願とは、この一式を大学の数だけ抱えるということです。日程が空いていることと、こなせることは別だと考えてください。
総合型選抜の併願パターン4つと、それぞれの負荷


併願と一口に言っても、組み方によって負荷はまったく違います。代表的な4パターンを整理します。
パターン1 総合型選抜を複数校に出す
併願可の大学を複数受ける形です。年内に複数の結果が出るため、精神的には安心しやすくなります。
一方で、書類の負荷は最も重くなります。大学ごとに求める学生像が違うので、志望理由書は書き直しになるからです。出願時期も重なるため、9月は書類作成でほぼ埋まると考えてください。
なお、このパターンを選ぶ場合は、出願する全校が併願可であることが前提です。1校でも専願が混ざっていると、そこに合格した時点で他校を辞退することになります。組む前に全校分の出願資格をそろえて確認してください。



9月は書類だけで一日が終わります。複数校に出すなら、夏のうちに下書きまで終わらせておきましょう。
パターン2 総合型選抜と学校推薦型選抜を組み合わせる
総合型選抜の結果が11月に出て、そこから学校推薦型選抜に進める形です。日程が1か月ずれているので、時間の面では最も無理がありません。
ただし学校推薦型選抜は高校長の推薦が必要で、校内の手続きが先に走ります。総合型選抜の準備と並行して、高校側の締切にも間に合わせる必要があります。両者の違いは総合型選抜と学校推薦型選抜の違いで解説しています。
パターン3 総合型選抜と一般選抜を組み合わせる
総合型選抜に挑戦しつつ、うまくいかなかった場合に備えて一般選抜の勉強を続ける形です。選択肢としては最も広く残ります。
難しいのは配分です。11月に結果が出るまで、書類・面接の準備と教科の勉強を並行させることになります。どちらも中途半端になるのが典型的な失敗なので、週単位でどちらに何時間使うかを先に決めておくことが必要です。
パターン4 総合型選抜と共通テスト利用を組み合わせる
総合型選抜の中で共通テストを課す方式もあれば、総合型選抜とは別に共通テスト利用方式へ出願する形もあります。
この場合、11月に総合型選抜の結果が出た後、1月の共通テストまで期間が空きます。ここで気持ちが切れやすいので、共通テストまでの学習計画を出願前に立てておくと崩れにくくなります。
併願を増やすほど合格が遠のくことがある
ここは、併願を勧める記事があまり書かないところです。ですが、併願を考えるなら知っておいたほうがいい話です。
志望理由書は使い回せない
総合型選抜の志望理由書は、その大学のアドミッション・ポリシーに沿って書きます。大学名だけ差し替えて出すと、どの大学にも当てはまるが、どの大学にも刺さらない文章になります。
読む側は毎年何百通と目を通しています。中身が一般論のままだと、そこは伝わってしまいます。
面接で「なぜこの大学なのか」に答えられなくなる
併願校が増えると、一校あたりに調べる時間が減ります。その状態で面接に臨むと、志望理由が浅いところで止まります。
面接で困るのは、聞かれた質問に答えられないことではありません。答えたあとの「それはなぜですか」「他の大学でもできるのではないですか」に返せなくなることです。この深さは、準備した時間の量にそのまま比例します。
出願数は「作り切れる数」で決める
併願校の数は、受けたい大学の数ではなく、書類を最後まで作り切れる数で決めます。目安を出すなら、次の3つを自分に聞いてみてください。
- その大学の学部で学べる内容を、パンフレットを見ずに説明できるか
- そこでしか学べない理由を、自分の経験と結びつけて言えるか
- 出願までの残り日数で、その状態まで持っていけるか
3つとも「はい」と言えない大学を足すより、言える大学に時間を集中させたほうが結果につながります。
併願校を減らすのは、挑戦をやめることではありません。同じ時間を何校に配るかという配分の話です。5校に20ずつ配るのか、2校に50ずつ配るのか。総合型選抜は書類と面接で人を見る入試なので、後者のほうが伝わる中身になりやすいというだけのことです。



迷ったら、その大学の志望理由を3分間そらで話せるか試してください。話せないなら、まだ出願の準備は終わっていません。
総合型選抜を併願するときの注意点4つ


専願で合格して手続きをすると、辞退しても学費が戻らないことがある
これは必ず確認してください。文部科学省の実施要項には、入学辞退者への授業料等の取り扱いについて次のように書かれています。
3月31日までに入学辞退の意思表示をした者(専願又は学校推薦型選抜(これに類する入学試験を含む。)に合格して大学等と在学契約を締結した受験者を除く。)については、原則として、受験者が納付した授業料等及び諸会費等の返還に応じる。
読み替えると、一般の受験者は3月31日までに辞退すれば授業料等が返還されるのが原則ですが、専願で合格して在学契約を結んだ場合は、その原則から外れているということです。
専願で出願するということは、金銭面でも後戻りしにくい選択になります。「とりあえず出しておく」で決める話ではありません。
入学手続きの締切と、他大学の合格発表日を並べる
併願で最も起きやすいトラブルが、これです。A大学の入学手続き締切が、B大学の合格発表より前に来ているケースがあります。
この場合、B大学の結果を知らないままA大学に入学金を納めるか、A大学の権利を手放すかの二択になります。出願を決める前に、次の4つの日付を大学ごとに書き出してください。
- 出願締切日
- 試験日
- 合格発表日
- 入学手続きの締切日(入学金の納入期限)



毎年ここでつまずく人がいます。日付は頭の中で並べず、必ず紙に書き出してください。
この4つを一枚の表に並べると、無理のある組み合わせは出願前に見つかります。入学金は納入後に返還されないことが多いので、日程が重なっている場合は、どちらを優先するかを事前に家庭で話しておく必要があります。
出願書類の作成にかかる時間を逆算する
志望理由書は、書き始めてから提出できる状態になるまで、書き直しを含めて時間がかかります。締切から逆算すると、実際に動き出す日は思っているよりかなり手前です。
併願する場合は、この期間が大学の数だけ必要になります。同時並行にすると質が落ちるので、着手日を大学ごとにずらして組むのが現実的です。
高校の先生に早めに共有する
調査書は高校に発行してもらいます。併願で複数校に出す場合は、その分だけ発行を依頼することになります。学校推薦型選抜を組み合わせるなら、校内選考の日程も関わります。
出願直前に伝えると、間に合わないことがあります。併願の方針が決まった時点で、担任や進路指導の先生に共有しておいてください。
併願を決める前に整理する3つのこと
最後に、出願先を決める前に手を止めて確認したい3つをまとめます。
- 志望校の募集要項で、出願する方式が専願か併願かを確認したか
- 出願締切・試験日・合格発表日・入学手続き締切を、大学ごとに一枚に並べたか
- 併願するすべての大学について、志望理由を最後まで書き切る時間が残っているか
3つ目で引っかかるなら、併願校を減らすほうが合格に近づきます。併願は選択肢を増やす手段であって、合格の確率を自動的に上げる手段ではないからです。
総合型選抜の対策は「深める」ことが合格への近道


パスハックは愛媛県松山市の総合型選抜専門塾です。オンライン対応で全国どこからでも受講できます。掲げているのは「盛る対策はしない。深める対策をする。」という方針です。併願を考えている人ほど、この「深める」が効いてきます。出願先が増えるほど、一校あたりの中身が薄くなりやすいからです。
国立大合格の代表が直接指導するから「深める」設計ができる
代表の長岡は、総合型選抜で国立大に合格しています。自分が通った道なので、書類と面接で何を見られるのかを前提に対策を組み立てられます。併願する場合も、どの大学にどの経験を当てるのかを一緒に設計します。
社会人プロ講師のみの体制で大学生バイトに任せない
指導するのは社会人のプロ講師だけです。大学生アルバイトには任せません。志望理由書の「なぜこの大学なのか」を詰めるには、社会で実際に何が起きているかを知っている人の視点が必要だからです。
チーム体制で多角的なフィードバック
併願をすると、書類の本数が増えます。一人の講師が全部を抱えると手が回りません。パスハックは複数の講師が関わるチーム体制なので、複数校分の書類を並行して見られます。見る人が違えば、気づく弱点も変わります。
毎月の成長レポートで進捗と次の課題が可視化
毎月、今どこまで進んでいて次に何をするのかをレポートで共有します。併願で複数の締切が並ぶ時期ほど、自分の現在地が見えていることが効きます。保護者の方にも状況が伝わります。
オンライン対応で全国どこからでも受講可能
松山の教室に通えなくても、オンラインで受けられます。近くに総合型選抜の専門塾がない地域でも、同じ内容の指導が受けられます。
無料相談からでOK|入会前提ではなく「話を聞くだけ」も歓迎
併願をどう組むかは、志望校が固まる前の早い段階で相談するほど選択肢が残ります。入会を前提にしない無料相談があるので、「この組み方で無理がないか」を確認するだけでも使ってください。
まとめ
総合型選抜が併願できるかどうかは、国のルールではなく、志望する大学の募集要項が決めています。この記事の要点を整理します。
- 文部科学省の実施要項に、総合型選抜の併願を禁止する規定はない
- 専願かどうかは「本学を第一志望とする者」「入学を確約できる者」といった出願資格の文面で判断する
- 条件は大学単位ではなく、学部・方式単位で確認する
- 2027年度入試は、総合型選抜が2026年9月1日出願・11月1日発表、学校推薦型選抜がその1か月後
- 専願で合格して在学契約を結ぶと、辞退しても授業料等が返還されないことがある
- 出願締切・試験日・合格発表日・入学手続き締切を大学ごとに並べると、無理な組み合わせが先に分かる
- 併願校の数は、志望理由を最後まで書き切れる数で決める
併願は、退路を用意するための手段です。ただし数を増やすほど、一校あたりにかけられる時間は減ります。どこまでなら深く準備できるのかを見極めたうえで組むことが、結果的にいちばん確実な進め方になります。
募集要項の記載は年度によって変わります。出願前に必ず志望校の最新の募集要項でご確認ください。
監修者


長岡 孝樹
総合型選抜専門塾パスハック 代表
塾講師・フリースクール講師としてキャリアをスタート後、 ITベンチャーや上場企業でWebマーケティングを経験。 サイト運用から広告ディレクションまで幅広く担当。
IT寺子屋では小学生へのプログラミング指導に携わる。 現在は愛媛県松山市にて総合型選抜専門塾「パスハック」 を運営。自らも総合型選抜で電気通信大学に合格した実績を持つ。









