パスハック代表・長岡孝樹です。|「盛らず、深める」にたどり着くまで

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プロフィール

長岡孝樹(ながおか こうき)。

愛媛県松山市出身。総合型選抜専門塾「パスハック」代表。

塾講師・フリースクール講師として教育の道に入り、その後ITベンチャーや上場企業でWebマーケティングを経験。「IT寺子屋」では小学生にプログラミングも教えてきた。教育とビジネス、その両方を知っていることが、今 の指導の土台になっている。自身も総合型選抜で電気通信大学に進学。

ここからは、長岡自身の言葉で。

空港への原体験

空港の話は、私自身の原体験でもある。

学生時代、家族旅行でよく飛行機に乗った。そのうち、空港という場所に魅了されていった。別れがあり、出会いがあり、ワクワクがあり、余韻に浸る場でもある。人の感情がそのまま行き交う場所だ。

その人の様々な顔の一端を担える仕事がしたい。そう思って、私は航空業界を目指した。

コロナ、挫折、そして気づき

夢が断たれた

しかし、コロナ禍が直撃した。航空業界は大打撃を受け、志望していた航空大学の入試は延期が続いた。実力不足もあり、2回チャレンジして届かなかった。

空港への想いは、本物だった。

でも私は、「航空業界でないといけない理由」も「自分はどんな人間か」も「自分の得意は何か」も、言葉にできていなかった。だから夢が断たれたとき、別の道を自分で見つけられず、足元から崩れてしまった。

回り道の先で気づいた、自分の得意

その後は、生活のためにIT・マーケティングの業界に飛び込んだ。考える暇もなく、ただがむしゃらに働いた。

2年が経ったころ、ふと気づいた。「このお客さんは、どう思うんだろう」「どうすれば目に留まるんだろう」。相手の立場に立って俯瞰して考えることが、自分は好きで、得意なんだと。

そういえば、学生時代から塾やフリースクールで教えるのが好きだった。インターン生のマネジメントも楽しかった。「俯瞰して見る力」と「楽しく教える力」。この2つに気づいたとき、バラバラだった点が、一本の線にな った。

パイロットになれなかったからこそ、私は本当の得意にたどり着いた。

「今 環境 楽」、ある恩師の言葉

ここまで来られたのは、出会ってきた先生たちのおかげだ。

挫折を抱えて松山を離れ、上京しようとしていた時。ある恩師が、言葉をくれた。

「今 環境 楽」。

この言葉には、あえて助詞がない。だからこそ、受け取る人によって、そして人生のどの地点にいるかによって、意味が変わる。

「今の環境を楽しめ」と背中を押す言葉にもなる。「今の環境を楽しんだ」と、過ぎた日々を肯定する言葉にもなる。「今、環境が楽になる」と先の希望を示すことも、「今の環境で、楽になっていい」と肩の力を抜かせるこ ともある。正解は一つではない。その人の、そのときの状況が、意味を決める。

ただ、どの解釈にも共通していることがある。「楽しむ」のを、忘れなければいい。

物事の意味は、自分の捉え方ひとつで変わる。だったら、どんなことも楽しむほうを選べばいい。

当時の私は、これを「今の環境を楽しめ」と受け取った。

どんな状況も、自分の解釈と行動ひとつで楽しめる。環境のせいにせず、今この瞬間を自分しだいで楽しいものに変えていける。次のステップへ進む私の、背中をそっと押してくれる言葉だった。

だから私は、受験も楽しんでほしいと思っている。つらい競争として歯を食いしばるのではなく、自分と向き合い、一生モノの生き方を学ぶ機会として楽しむ。人生は一度きりだ。その一度きりを楽しめるかどうかは、結局、 自分の捉え方しだいだと思う。

できない自分の隣に座ってくれた、柚山先生

パスハックには、私と並んで生徒に向き合うもう一人の講師がいる。柚山征四郎さんだ。じつは柚山さんは、私が高校時代に英語を教わった「元先生」でもある。

同じ目線で、隣に座る人

当時の私は、パイロットを目指しながら英語が大の苦手だった。成績は下から数えた方が早いほど。基礎がごっそり抜けていた。

それでも柚山さんは、一度も高圧的にならなかった。象徴的なのが参考書の話だ。私が使うのと同じ参考書を自分でも買ってきて、隣で一緒に解いてくれた。先生は普通、答えを持つ側で、上から間違いを直す。でも柚山さん は、同じ問題集を開き、同じ目線で隣に座る人だった。「教える」というより、「一緒に向き合う」人だ。

ただ聞いてくれた

参考書以上に私を支えたのは、一緒に過ごした時間だった。

パイロットの夢とコロナの間で揺れ、メンタルを崩していた時期。柚山さんは私の話を、3時間でも黙って聞いてくれた。アドバイスをまくし立てるのではなく、ただ聞く。塾の外でも気にかけ続け、何時間も付き合ってくれ た。その時間が、沈んでいた私を少しずつ日常へ引き戻してくれた。

年上なのに、いつしか友達のように話せる。生徒と友達のようにも、先生のようにもなれる人。それが柚山さんだ。あの時間がなければ、私は完全燃焼する前にパイロットを諦めていたと思う。

電気通信大学を総合型選抜で受けた時も、志望理由書から面接まで、何から何まで一緒に紐解いてくれた。上京後も二人で会い続けている。先生と生徒として始まった関係は、形を変えて今も続いている。

帰省先の居酒屋で、「これだ」と思った

その柚山さんと塾を始めたのには、はっきりしたきっかけがある。

私自身、以前から「いつか教育業界で働きたい」と思っていた。出会ってきた先生たちのおかげで、今の自分があるからだ。一方の柚山さんは、ずっと教育の現場に立ち続けてきた人。二人で塾を、という話には自然な土台があった。

ある日、松山に帰省して柚山さんと飲んでいると、こんな話になった。「最近は一般入試より、総合型選抜で受ける人の方が多い。でも松山は地方都市だから、情報が集まりにくいし、専門の塾もない」。

その瞬間、バラバラだったピースが噛み合った。「これだ」と思った。

総合型選抜は、自分の内側をどれだけ言葉にできるかの勝負だ。私自身その入試で大学に進み、その「自分を言葉にする」やり方を先生たちから教わってきた。

松山には、それを必要とする子がいるのに、届ける場所がない。

なら、私が教わってきたことを、全部その子たちに渡せばいい。私の道を決めた。

「盛る」のではなく、「深める」

恋愛でも友人関係でも、人は自分をよく見せようとする。その行動自体は、悪くない。

でも、自分の経験や考え、思いに気づけている人は、何をしてもぶれない。うまくいかなくても、また立ち上がれる。

そこから生まれたのが、パスハックの核心にある言葉だ。「盛る対策はしない。深める対策をする。」

表面を飾っても、面接官にはすぐ見抜かれる。大事なのは、自分の内側を掘り下げ、自分の言葉で語れるようになることだ。それは合格を引き寄せる力であり、大学でも社会でも通用する力だと信じている。

そしてこの「盛らず、深める」という考え方そのものを、私は柚山さんから教わった。参考書を一緒に解いてくれた時も、3時間話を聞いてくれた時も、柚山さんは私を「盛ろう」とはしなかった。私の中にあるものを、隣で 一緒に掘り起こしてくれた。今、生徒の隣に座る私は、かつて自分の隣に座ってくれた人のやり方を、なぞっている。

それは、私個人の話で終わらせない

一人ひとりに向き合い、その子の中にあるものを掘り下げ、自分の言葉に変えていく。これを、私や柚山さんの性格だから、で終わらせたくはない。パスハックでは、この関わり方を理念に据え、日々の指導の進め方として形 にしている。

指導は、二つの段階で進む

まず、生徒に自分の言葉で、感情のままに書いてもらう。きれいな文章でなくていい。上手さより、本当の気持ちが乗っているかを優先する。

次に、その文章を一緒に読みながら、私たちが「ん?」と思った部分に質問する。「なぜここで、こう感じたの?」。その問いを重ねて、本人も気づいていない体験や感情を掘り起こす。自己理解が深まると、面接でどんな質問が 来ても、自分の言葉で答えられるようになる。

「自分の言葉で書くこと」。これが、パスハックの唯一にして最大のルールだ。

AIの時代だからこそ

このルールは、AIの時代だからこそ大事になる。生成AIは便利だし、共存も否定しない。ただ、AIの答えには「人間らしさ」がない。丸呑みせず、自分の頭で問い直し、自分の体験や感情を乗せる。それが、人間にしかできな いことであり、総合型選抜で本当に問われている力だ。

この関わり方を、誰が来ても同じ深さで届けたい。その想いを塾のかたちにしたのが、パスハックだ。

私なりの、恩返しのかたち

私は、たくさんの先生に助けられてきた。柚山さんにも、「今 環境 楽」をくれた恩師にも。挫折するたび、誰かが手を伸ばしてすくい上げてくれた。だから、ずっと恩返しがしたいと思ってきた。

ただ、あの先生たちは、私からの直接の恩返しなど望んでいないだろう。「お前が元気でやっているなら、それでいい」。そう笑う人たちだ。

そこで出した答えが、これだ。先生たちから教わったことに自分の経験を足して、今度は生徒たちに伝えること。それが、私なりの恩返しだ。

教わったことを、そのまま渡すのではない。夢に挫折し、言葉を見失い、回り道の末にまた見つけた。その遠回りも痛みも、全部足して渡す。受け取ったものを、自分というフィルターを通して、次の世代へ渡す。柚山さんと塾をやることも、私にとっては恩返しの一部だ。

これから来る、あなたへ

私は、特別な人間ではない。夢に挫折し、自分の得意が分からず、英語もできなかった。一度はすべてを失ったように感じた人間だ。それでも、隣で一緒に解いてくれる先生や、「今 環境 楽」と背中を押してくれる先生に出会い、少しずつ自分の言葉を取り戻した。

その先生たちから受け取ったものに、自分の経験を足して、今度はあなたに渡したい。

それが、私がこの塾をやっている理由のすべてだ。

受験は、合否だけのものではない。自分が何者で、何を大切にしているのかを言葉にする。それは、その先の人生をずっと支える、一生モノの学びだ。

だから、何も盛らなくていい。うまく話せなくてもいい。あなた自身のことを、話しに来てほしい。

私と柚山さんの二人が隣に座って、あなたの中にあるものを、一緒に深く掘り下げていく。

それが、パスハックだ。

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