志望理由書は、書き方の順番を間違えると何度も書き直すことになります。
先に文章を書き始めるのではなく、素材を決める、字数を気にせず書く、削る、面接の視点で確認する。この4ステップで進めれば、迷う時間が大きく減ります。
この記事では、素材の掘り方から提出前のチェックまで、800字の例文つきで順番に解説します。
代表 長岡書けないのは文章力の問題ではありません。書く材料が決まっていないだけです。順番に出していきましょう。
志望理由書は何を書く書類なのか
書き方に入る前に、この書類が何を求められているのかを押さえます。
ここがずれていると、丁寧に書いても評価につながりません。
正式名称は「大学入学希望理由書」
文部科学省の令和9年度大学入学者選抜実施要項では、この書類は「大学入学希望理由書」と呼ばれています。
志望理由書、入学希望理由書、志望動機書と大学によって名前が違うのはこのためです。呼び方が違っても、求められている中身は同じです。
要項が求めている3つの内容
同じ要項には、こう書かれています。
大学入学希望理由書や学修計画書を活用する際には、各大学が、学部等の教育内容を踏まえ、入学志願者に対し、入学希望理由や入学後に学びたい内容・計画、大学卒業後を見据えた目標等を記載させる。(令和9年度大学入学者選抜実施要項)
求められているのは、入学希望理由、入学後に学びたい内容と計画、卒業後を見据えた目標の3つです。過去の話だけでも、将来の夢だけでも足りません。
総合型選抜では必ず読まれる書類
同じ要項では、総合型選抜について、詳細な書類審査と時間をかけた丁寧な面接等を組み合わせる入試方法だと定義されています。そのうえで、志願者本人が記載する資料を必ず評価に活用するとも書かれています。
志望理由書は、出願のために形式的に出す紙ではありません。
必ず読まれ、評価され、そして面接で掘り下げられる書類です。
自己PR・自己推薦書との違い
同じ時期に書く書類なので混同しやすいのですが、役割が違います。
| 書類 | 中心になる問い |
|---|---|
| 志望理由書 | なぜこの学部で学びたいのか |
| 自己PR・自己推薦書 | 自分はどんな人間で、何ができるのか |
志望理由書は大学に軸足があり、自己PRは自分に軸足があります。


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書き方の全体像。5つのステップで進める
書き上げるまでの流れは、次の5ステップです。この順番を守るかどうかで、かかる時間が大きく変わります。


やること:自分の中から書く材料を出す。文章はまだ書かない
次に進む合図:経験・発見・やりたいことを口で説明できる
やること:志望する学部を調べ、自分の素材とつなぐ
次に進む合図:「その学部でなければならない理由」が1行で言える
やること:4ブロックの順に、素材を全部文章にする
次に進む合図:素材メモの内容が全部書き出せた
やること:決めた順番で文を落とす
次に進む合図:指定字数に収まり、消した文が惜しくない
やること:一文ずつ「なぜ」と自分に問う
次に進む合図:全部の文に自分の言葉で答えられる
手順を飛ばすと何が起きるか
| 飛ばしたステップ | 起きること |
|---|---|
| STEP1 | 書いては消すを繰り返し、時間だけが過ぎる |
| STEP2 | どの大学にも出せる、当たりさわりのない文章になる |
| STEP3で字数に合わせる | 600字と決めて書くと、600字ぶんの浅い内容しか出てこない |
| STEP4 | 素材を詰め込んだだけの、読みにくい文章になる |
| STEP5 | 書けたのに、面接で自分の書いたことを説明できない |
一番多いのは、STEP1を飛ばしていきなり書き始めるパターンです。素材が決まっていない状態で書き出すので、途中で止まり、また最初から書き直すことになります。



白い紙を前に固まってしまう人ほど、STEP1を飛ばしています。まず材料からです。
STEP1:自分の経験から素材を掘り出す
最初にやるのは、文章を書くことではなく、書く中身を決めることです。まずは自分側の素材から出します。
書けない原因は、文章力ではなく素材不足
志望理由書が書けないと相談に来る高校生の多くは、書き方を知らないのではありません。
「教えるのが好き」「医療に興味がある」までは出てくるのに、その先が出てこない状態です。必要なのは新しいテンプレートではなく、その一言の中身を掘ることです。
「なぜ」を3回掘る
一言で終わっている興味に、「なぜ」を繰り返します。実際に掘るとこうなります。
- 「人に教えるのが好き」
- なぜ好きなのか →「どう言えば伝わるかを考えるのが面白いから」
- なぜ面白いのか →「同じ説明をしても、伝わる相手と伝わらない相手がいるから」
- いつそう思ったのか →「小学校と中学校の授業にあった、分かった人が教える時間」
ここまで掘って、ようやく書ける場面になります。最初の一言のままでは、誰が書いても同じ文章にしかなりません。


自分ひとりでは、経験だと気づけないことが多い
この掘り下げを自分だけでやるのは、実際にはかなり難しいことです。多くの高校生は、自分の中にある材料を「どこにでもある普通のこと」として通り過ぎてしまいます。
先ほどの、分かった人が教える時間の話もそうです。本人にとっては、わざわざ書くようなことではありませんでした。授業中に何度もあった、当たり前の場面だからです。それが志望理由書の出発点になるとは、自分では思っていませんでした。
自分の経験に値打ちをつけるのは、自分にとって一番やりにくい作業です。だから、外から質問してもらう必要があります。何を聞かれるかで、思い出せる場面は変わります。



「そんな普通のことを書いていいんですか」とよく聞かれます。その普通が、一番強い素材です。
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素材は、趣味や日常の些細なことから見つかる
志望理由書の素材は、立派な活動の中にあるとは限りません。むしろ、次のような場所から見つかることのほうが多いです。
- 趣味。時間を忘れて続けていること
- 没頭したこと。人から見れば地味でも、自分は飽きなかったこと
- 好きなもの。なぜ好きなのかを説明できるもの
- 日常の些細な場面。気になって仕方がなかったこと、つい直したくなったこと
先ほどの例も、授業中に人へ教えていた時間という、日常の中の場面でした。本人にとっては誰でもやっていることで、受験に使えるとは思っていませんでした。
自分の中で当たり前になっているものほど、強みだと気づけません。だから一人で探すと見つからず、「書くことがない」で止まってしまいます。
素材メモは4項目でつくる
掘り出した素材は、次の4項目に整理します。この4つがそのまま志望理由書の骨格になります。
| 項目 | 自分に投げる質問 |
|---|---|
| ①経験・事象 | それを感じたのは、いつ、どこで、何があったときか |
| ②発見 | そのとき何に気づいたか。他の人が言っていることではなく、自分が見たこと |
| ③成し遂げたいこと | その気づきをもとに、何を変えたいか。誰にどうなってほしいか |
| ④勉強したいこと | それを実現するには何を学ぶ必要があるか。そして、その学部の何がそれに対応しているか |
この段階では、一文字も文章を書かなくて構いません。メモの状態で十分です。4つとも誰かに口で説明できるようになったら、次に進みます。
特別な実績がなくても素材は出せる
コンクールの受賞歴や留学経験がないと書けない、と思う必要はありません。授業中の一場面でも書けます。
STEP2:志望する学部を調べて、経験と結ぶ
素材には2種類あります。自分側の素材と、大学側の素材です。①から③は自分の中から出せますが、④だけは大学を調べないと書けません。
行きたい大学や学部は、すでに決まっている人がほとんどだと思います。だからこそ、やることははっきりしています。決まっている学部について徹底的に調べて、自分の経験とつながる場所を探しにいくことです。
志望理由は、どこかから探してくるものではありません。自分の経験と、その学部の中身が重なるところを見つけて言葉にするものです。
大学単位ではなく、学部・学科単位で調べる
調べる単位は大学ではなく、学部・学科です。同じ大学でも学部が違えば学べる内容は別物で、志望理由書で問われるのは学部の中身との一致だからです。
- アドミッションポリシー(学部が求めている人物像)
- カリキュラム。何年次にどんな科目があるか
- 研究室・ゼミ・教員の研究テーマ
- 実習、地域連携、留学など、その学部が力を入れている取り組み
- オープンキャンパスや説明会で直接聞いた話
パンフレットの目立つところだけでなく、シラバスや研究室のページまで見にいきます。
アドミッションポリシーは引き写さない
アドミッションポリシーは必ず読みますが、そのまま書き写しても評価されません。
「主体的に学び続ける人材という点が私に合っています」と書いても、誰でも書けるからです。
使うなら、自分の経験の側に翻訳します。求められている力を、自分のどの経験が示しているのかを対応させて書く。書き写すのではなく、自分の素材で答える形にします。
調べただけでは書けない。自分の経験と結ぶ
調べた内容をそのまま並べると、大学案内の要約になります。必要なのは、③で書いた成し遂げたいことと、学部の何が対応しているかを線で結ぶことです。
- この課題を解決するには、◯◯という力が必要だ
- その◯◯を扱っているのが、貴学の△△という科目・研究室だ
この2文がつながったとき、初めて「その学部でなければならない理由」になります。


調べ足りないと、どの大学でも成立する文になる
記事の後半で紹介するNG例の第4段落が、まさにこの状態です。設備が充実、熱心な先生方、自由な校風。どれも調べなくても書けることばかりで、大学名を差し替えても成立してしまいます。



シラバスまで見た人と、パンフレットだけ見た人。書かれた文章を読めば、すぐに分かります。
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STEP3:4ブロックの構成で、字数を気にせず書く


素材が決まったら書き始めます。並べる順番は決まっています。
- 経験・事象:実際に自分の身に起きたこと
- 発見:その経験から気づいたこと
- 成し遂げたいこと:解決したい課題、これからやりたいこと
- 勉強したいこと:それを実現するために学部で学びたいこと
この順番でなければならない理由
よくあるテンプレートは「きっかけ→大学で学びたいこと→将来」の順です。ただこの並びだと大学の話が先に来て、将来が最後の飾りになりがちです。
経験から発見へ、発見からやりたいことへ、やりたいことから学ぶ内容へと進めば、学部は目的を叶えるための手段として選ばれた形になります。読み手から見たときに、理由が後付けに見えません。
これは書く順番の話です。実際には志望校が先に決まっている人がほとんどで、それで問題ありません。決まっている学部に合わせて理由を作るのではなく、自分の経験の中から、その学部とつながる部分を見つけて書きます。
4ブロックの型そのものについては、志望理由書の構成|同じ素材でも伝わらない理由と、経験から書く4ブロックで、よくあるテンプレートとの違いやブロックごとの分量配分まで詳しく解説しています。
最初は指定字数の1.3倍から1.5倍を書く
このステップでは、指定字数を一度忘れます。800字指定なら1000字から1200字を目安に、素材メモに書いたことを全部文章にします。



文のつながりが悪くても、同じことを2回言っていても構いません。
削るのは後からできますが、足りないものを後から足すのは難しいからです。字数に収めることを先に考えると、一番具体的なところが最初に落ちてしまいます。



600字と決めて書き始めると、600字ぶんの浅い話しか出てきません。まず全部出してから削りましょう。
ブロック①経験・事象:場面を1つに絞る
- 手が止まる書き方:「昔から人に教えることが好きでした」
- 伝わる書き方:「小学校と中学校の授業にあった、分かった人はまだの人に教える時間です。同じ説明をしても、伝わる相手と伝わらない相手がいました」
違いは、読み手が場面を思い浮かべられるかどうかです。エピソードを複数入れたくなりますが、1つに絞ったほうが具体的になります。
ブロック②発見:自分が見たことを言葉にする
- 手が止まる書き方:「この経験から、教育の大切さを学びました」
- 伝わる書き方:「相手がつまずいていたのは、イメージが持てない場所でした」
発見は、世の中で言われていることではなく、自分がその場で見たことから書きます。ここが自分にしか書けない部分になり、志望理由書で一番差がつきます。
ブロック③成し遂げたいこと:課題を具体的にする
- 手が止まる書き方:「教育の未来を変えたいです」
- 伝わる書き方:「危険で再現できない実験も、もう存在しない町並みも、安全に何度でも体験できる状態をつくりたいです」
大きな言葉は、中身がないほど大きくなります。何を、誰のために、どうしたいのかまで下ろします。職業名で答えられなくても構いません。
ブロック④勉強したいこと:その学部でなければならない形にする
- 手が止まる書き方:「施設や設備が充実し、熱心な先生方のもとで学べます」
- 伝わる書き方:「◯◯研究室では、技術を作ることだけでなく、それが学習者にどう届くかまでを扱っておられます」
判断の基準は1つです。大学名を別の大学に差し替えても成立する文は、その学部を選んだ理由になっていません。
書き出しと締めの書き方


書き出しは、結論から入るのが最も失敗しません。「私は◯◯を学びたいと考え、貴学◯◯学部を志望します」と最初に置いてから、経験の話に入ります。
社会情勢の説明から始める書き出しは避けます。「近年、◯◯が進んでいます」で始めると、自分が登場するのが遅くなり、限られた字数を他人の話で使うことになります。
締めは、書き出しと呼応させます。冒頭で書いた志望の宣言に、経験と学びの話を通ったうえでもう一度戻る。最後に新しい話題を出さないのがコツです。
志望理由と将来が別の設問になっている場合
要項が「大学入学希望理由書や学修計画書」と2つを並べているとおり、志望理由と学修計画・将来の展望が、別の書類や別の設問になっている大学があります。その場合も4ブロックは作り直しません。
| 設問 | 配るブロック |
| 志望理由の欄 | ①経験・事象、②発見、③成し遂げたいこと |
| 学修計画・将来の欄 | ③を短く置き直したうえで、④を厚く書く |
③を両方の設問に少しずつ置くと、別々に見えていた2枚の書類が1本の線でつながります。先に全部通しで書いてから切り分けると、2枚の話がずれません。
様式は大学ごとに違います。字数も欄の数も違うので、必ず志望校の募集要項で確認してください。
STEP4:削って指定字数に合わせる
字数を合わせるのはここです。多めに書いた原稿から、順番に落としていきます。
削る順番を決めておく
| 優先順位 | 削るもの |
| 最初に削る | 社会情勢や一般論の前置き(近年〜と言われています) |
| 2番目 | 同じことを言い換えているだけの文 |
| 3番目 | 他の大学に差し替えても成立する文(設備が充実、熱心な先生方) |
| 4番目 | 本筋と関係のないエピソード(無関係な部活の話など) |
| 最後まで残す | 経験の具体的な場面、そこで気づいたこと、その学部でしか書けない記述 |


記事の後半で紹介するNG例は、この基準で削ると半分以上が消えます。逆に言えば、消えない文だけで書けていれば、字数はあとから合います。
字数別の落とし所
| 指定字数 | 書き方の目安 |
|---|---|
| 600字 | 4ブロックを各1〜2文ずつ。経験は場面を1つだけに絞る |
| 800字 | 最も書きやすい標準形。経験と発見を厚めにし、学部の話は具体を2点まで |
| 1200字以上 | 経験を2つに増やすか、④の学修計画を年次ごとに具体化する。字数を埋めるために一般論を足さない |
指定字数に対して短すぎないか
削りすぎて余白が大きく残るのも避けます。書ける材料が少ないと見えるためです。削った結果、指定字数に対して余白が目立つようなら、STEP1に戻って素材を足します。文字数を稼ぐために一般論を書き足すのは逆効果です。
STEP5:提出前にセルフチェックする
書き上げたら、出す前に確認します。
チェックリスト
- 経験のブロックに、いつ・どこで・何があったかが書かれているか
- 発見のブロックに、自分が見たことが書かれているか(世の中で言われていることになっていないか)
- 経験と、やりたいことが、発見でつながっているか
- 大学名を別の大学に差し替えたら、成立しなくなるか
- 書いた内容を、面接で聞かれて自分の言葉で答えられるか
- 指定字数に対して、余白が大きく残っていないか
- 文末が統一されているか
面接官のつもりで「なぜ」を投げる
書き終えた志望理由書を読み返しながら、一文ごとに「なぜ」と聞いてみてください。答えられない文があれば、そこは自分の中で固まっていない部分です。
総合型選抜では、志望理由書に書いたことが面接で必ず掘り下げられます。書いた時点で答えられない内容は、面接でも答えられません。盛った内容が危ないのは、この構造があるからです。



書けたのに面接で答えられない、が一番もったいない。書いた時点で答えられるかを確かめてください。
第三者に読んでもらう
自分では書けているつもりでも、他人が読むと場面が浮かばないことがあります。
誰かに読んでもらい、どんな場面が浮かんだか、どの学部の志望理由に見えたかを聞きます。
想像した内容が自分の意図とずれていたら、そこが直す場所です。
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完成した志望理由書を例文で見る
ここまでの5ステップで書き上げたOK例と、同じ素材で書いたNG例を並べます。
素材はどちらも同じ受験生のものです。人に教えるのが好きで、3Dや仮想空間を教育に取り入れたいと考えている、情報系学部の志望者という設定です。
OK例:この書き方で書いた志望理由書(796字)
大学名や研究室名は伏せています。
私は、教育の現場に3Dや仮想空間の技術を届けるための研究がしたいと考え、貴学◯◯学部◯◯学科を志望します。
きっかけは、小学校と中学校の授業にあった「分かった人は、まだの人に教える」時間です。私はこの時間が好きで、いつも進んで手を挙げていました。ただ、同じ説明をしても、伝わる相手と伝わらない相手がいました。この人が理解できるようにするにはどう言えばいいのだろうと考え、言い方を変え、図をかいて説明し直す。その過程が、私にはとても面白いものでした。
一方で私自身にも、教科書を読むだけでは像が結ばない場面がありました。特に理科と社会です。理科では、薬品や高温を扱う実験は危険や設備の都合で実際にはできず、結果だけを覚えることになりました。歴史でも、当時の町の様子を文章から想像するしかなく、覚えた年号と出来事が自分の中でつながりませんでした。教える側に回ったとき、相手がつまずいていたのも、まさに同じ「イメージが持てない」場所でした。
ここから私は、理解が浅いまま止まる原因の一つは、体験できないことにあると考えるようになりました。危険で再現できない実験も、もう存在しない町並みも、3Dや仮想空間であれば安全に、何度でも体験できます。
そこで貴学では、3Dや仮想空間を作る技術と、それを学習に結びつける方法の両方を学びたいと考えています。◯◯研究室では、仮想空間を用いた学習支援の研究に取り組まれており、技術を作ることだけでなく、それが学習者にどう届くかまでを扱っておられます。作る側と教える側の両方に関心がある私にとって、最も学びたい環境です。
将来は、研究を通して新しい教材のかたちを提案し、それを実際の学校で使える状態にして広げていく立場に立ちたいと考えています。作って終わりにするのではなく、現場の先生が無理なく使えるところまで見届けたい。そのための土台を、貴学で身につけたいと考えています。
この例文がOKな理由
4つのブロックが、1本の線でつながっているからです。
- 経験:分かった人が教える時間で、伝わる相手と伝わらない相手がいた
- 発見:相手がつまずいていたのは、自分が理科や社会でつまずいたのと同じ「イメージが持てない」場所だった
- 成し遂げたいこと:体験できないことを、安全に何度でも体験できるようにしたい
- 勉強したいこと:3Dや仮想空間の技術と、それを学習に結びつける方法
教える経験と、自分がつまずいた経験が、②の発見で1つに結ばれています。ここで結ばれているから、3Dや仮想空間という話が唐突に見えません。
NG例:同じ素材で書いた志望理由書(778字)
文末は統一されていて、誤字もありません。文章としては読めます。
近年、教育現場ではICT化が急速に進み、タブレットや電子黒板の導入が当たり前になってきました。その一方で、生徒の学力格差は広がっているとも言われています。私はこうした現状を変え、誰もが楽しく学べる教育を実現したいと考え、貴学◯◯学部◯◯学科を志望します。
私は昔から人に教えることが好きで、まわりからも教え方が上手だと言われてきました。勉強が苦手な友人に教えたときに感謝された経験は、今でも私の財産です。この経験から、私は教育の大切さを学び、将来は教育に関わる仕事がしたいと思うようになりました。また、高校時代は部活動にも力を入れ、仲間と協力することの大切さや、最後までやり抜く力を身につけました。この経験は大学生活でも必ず生きてくると思います。
そして今、私が最も関心を持っているのがメタバースです。メタバースは今後あらゆる分野で活用が期待されており、教育分野でも大きな可能性を秘めています。仮想空間を使えば、生徒は楽しみながら学ぶことができ、学習意欲も高まると考えます。すでに海外の学校では導入事例もあると聞いており、日本でも同じように広がっていくはずです。私はこの新しい技術を学び、これからの教育に生かしたいと考えています。
貴学は施設や設備が充実しており、熱心な先生方のもとで幅広い分野を学ぶことができます。自由な校風にも魅力を感じ、ここでなら自分を成長させられると思いました。アドミッションポリシーにある、主体的に学び続ける人材という点も、私に合っていると考えます。入学後は勉強はもちろん、サークル活動やボランティアにも積極的に参加し、充実した大学生活を送りたいです。
将来は、メタバースを活用した革新的な教材を開発し、日本中の子どもたちに感動を与えられる人材になりたいと考えています。そして、教育の未来を変えることで、社会に大きく貢献していきたいです。
決定的な違いは、②の発見がないこと


このNG例には、教えるのが好きという話と、メタバースに関心があるという話が、別々に置かれています。両者をつなぐ発見がありません。
OK例では、「相手がつまずいていたのは、イメージが持てない場所だった」という発見が2つを結んでいます。この一文があるかないかで、3Dや仮想空間に進む理由が必然に見えるか、思いつきに見えるかが変わります。
読み手からは、教育に関心があって、たまたま流行の技術も好きな人に見えてしまいます。素材は同じなのに、です。
そのほかに直したい6点
| # | 直したい点 | 該当箇所 |
|---|---|---|
| 1 | 社会の話から始まり、自分が出てくるのが遅い | 第1段落 |
| 2 | 原体験に場面がない。好きと感謝されたことしか書かれていない | 第2段落 |
| 3 | 部活の話が本筋と無関係で、素材の寄せ集めになっている | 第2段落後半 |
| 4 | 技術を選んだ根拠が伝聞。自分の観察がない | 第3段落 |
| 5 | 大学名を差し替えても成立する。設備、熱心な先生、自由な校風、アドミッションポリシーの引き写し | 第4段落 |
| 6 | 将来が抽象的。何を研究し、誰にどう届けるのかがない | 第5段落 |
書くときの作法(文末・表記・清書)
内容が良くても、作法で読みにくくなると損をします。最低限のところだけ押さえます。
文末を統一する
「です・ます」か「だ・である」のどちらかに統一します。どちらでも構いませんが、混ざるのは避けます。書き上げたあとに一度、文末だけを目で追って確認します。
一人称と大学の呼び方
一人称は「私」を使います。大学は「貴学」と書くのが一般的です。学部を指すときは「貴学部」となります。話し言葉や省略形は使いません。
一文を長くしすぎない
一文が長くなるほど、主語と述語がねじれます。読点でつないで3行以上になっているときは、2つの文に分けられないか確認します。
手書きで清書する場合
手書き指定の大学もあります。清書は必ず、内容が固まってから始めます。
書きながら考えると、書き損じが増えて時間を失います。下書きを完成させ、読み返し、それから清書に入ります。
志望理由書は「盛る」より「深める」で決まる
パスハックは、愛媛県松山市の総合型選抜専門塾です。志望理由書の指導では、書き方を教える前に、書く材料を掘るところから始めます。
気づいていない経験を、1つずつ引き出す
パスハックの講師は、社会でさまざまな仕事を経験してきた社会人です。学校と塾の中だけを見てきた指導とは、引き出せる範囲が変わります。
面談では、志望理由の話からは始めません。趣味、好きなこと、時間を忘れて没頭したこと、日常で気になっていること。そうした話を1つずつ聞いていきます。



本人が「これは受験に関係ない」と思っている話の中に、志望理由の出発点があることがほとんどだからです。
高校生が雑談の中で何気なく口にしたことに対して、「それは書ける経験です」と気づけるかどうか。ここが指導の分かれ目です。実績を新しく作るのではなく、すでに持っているものに気づいてもらうところから始めます。
書き方の手順は、この記事を読めば分かります。難しいのは、「教えるのが好き」で止まっている状態から、その人にしか書けない場面を引き出すところです。
書類と面接をつなげて設計する
志望理由書は、そのまま面接の台本になります。
パスハックでは書類を書く段階から、面接で何を聞かれるかを想定して設計します。想定問答を覚えさせるのではなく、どんな聞かれ方をしても自分の言葉で答えられる状態をつくります。
オンラインでも同じ指導が受けられる
パスハックはオンラインにも対応しています。近くに総合型選抜を見てくれる塾がない地域の高校生も、松山の教室と同じ内容の指導を受けられます。



志望理由書は、うまい文章を書く勝負ではありません。自分の経験をどこまで掘れたかの勝負です。掘るところは、一緒にやりましょう。
総合型選抜で迷っている方へ
まずは無料で気軽に
ご相談ください。
「何から始めればいい?」「今からでも間に合う?」など、 小さな不安や疑問でも無料でご相談いただけます。
まとめ
志望理由書の書き方は、5つのステップで進めます。
- STEP1:自分の経験から素材を掘り出す。ここでは文章を書かない
- STEP2:志望する学部を調べて、自分の素材と結ぶ
- STEP3:4ブロックの構成で、指定字数の1.3倍から1.5倍を書く
- STEP4:決めた順番で削り、字数に合わせる
- STEP5:一文ずつ「なぜ」と問い、面接で答えられるかを確かめる
構成は、①経験・事象、②発見、③成し遂げたいこと、④勉強したいことの4ブロックです。この4つが1本の線でつながっていれば、志望理由書は伝わる文章になります。特に②の発見が抜けると、同じ素材でも思いつきに見えてしまいます。
そして、書いた内容は面接で必ず掘り下げられます。盛らず、自分が答えられることだけで書くこと。それが結果として一番強い志望理由書になります。
監修者


長岡 孝樹
総合型選抜専門塾パスハック 代表
塾講師・フリースクール講師としてキャリアをスタート後、 ITベンチャーや上場企業でWebマーケティングを経験。 サイト運用から広告ディレクションまで幅広く担当。
IT寺子屋では小学生へのプログラミング指導に携わる。 現在は愛媛県松山市にて総合型選抜専門塾「パスハック」 を運営。自らも総合型選抜で電気通信大学に合格した実績を持つ。





