志望理由書の構成をテンプレートで調べたけれど、自分の場合に何を入れればいいか分からない。
そんな状態の人に向けて、4つのブロックで組み立てる型と、一番つまずく①経験・②発見の見つけ方をまとめました。同じ素材で書いたOK例とNG例も並べています。
代表 長岡構成は、うまい文章を書くための型ではありません。自分の経験と志望理由をつなぐための型です。
志望理由書の構成は4つのブロックでできている
志望理由書は、次の4つのブロックに分けて考えると迷いません。
- 経験・事象:実際に自分の身に起きたこと
- 発見:その経験から気づいたこと
- 成し遂げたいこと:解決したい課題、これからやりたいこと
- 勉強したいこと:それを実現するために大学で学びたいこと


①経験・事象:実際にあったこと
書くのは、自分が本当に体験した場面です。大きな出来事である必要はありません。
授業中のできごと、部活の一場面、家族との会話でも構いません。
大切なのは、いつ、どこで、何があったのかを、読み手が思い浮かべられる状態で書くことです。
②発見:その経験から気づいたこと
経験を書いただけでは志望理由になりません。そこから何に気づいたのかが要ります。
4ブロックの中で一番抜けやすく、そして一番差がつくのがここです。
③成し遂げたいこと:解決したい課題
発見を、これからやりたいことに変換します。職業名で答えられなくても構いません。
どんな課題を解決したいのか、誰にどうなってほしいのかで書けます。
④勉強したいこと:大学で学びたいこと
最後に、それを実現するために大学で何を学ぶ必要があるのかを書きます。ここで初めて大学名が出てきます。
この順番でなければならない理由
よくあるテンプレートは「きっかけ→大学で学びたいこと→将来」の順です。ただこの並びだと大学の話が先に来て、将来が最後の飾りになりがちです。
経験から発見へ、発見からやりたいことへ、やりたいことから学ぶ内容へと進めば、大学は目的を叶えるための手段として選ばれた形になります。読み手から見たときに、理由が後付けに見えません。
なお、これは書く順番の話です。実際には、行きたい大学や学部が先に決まっている人がほとんどで、それで問題ありません。
決まっている大学に合わせて理由を作るのではなく、自分の経験の中から、その学部とつながる部分を見つけて書く。
同じ結論にたどり着く場合でも、伝わり方が変わります。



大学の話から書き始めると、どうしても理由が後付けに見えます。順番だけは変えないでください。
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①経験・事象と②発見の見つけ方
構成の型が分かっても、①と②が空のままでは1行も書けません。ここが志望理由書で一番時間のかかるところです。
①と②が決まれば、③と④は半分決まる
③成し遂げたいことは、②発見から出てきます。④勉強したいことは、③から決まります。つまり前の2つが決まれば、後ろの2つは自然に絞られていきます。
逆に、①と②が空のまま③と④を書こうとすると、「教育の未来を変えたいです」「充実した設備のもとで学びたいです」のような、誰でも書ける文章になります。書けないのは後半ではなく、前半が決まっていないからです。
経験を探す場所は4つある
自分の経験は、履歴書に書けるような活動の中にあるとは限りません。次の4つを順番に見ていきます。
| 探す場所 | 自分に投げる問い |
|---|---|
| 没頭したこと | 時間を忘れてやっていたことは何か。人から見て地味でも構わない |
| 好きなもの・続いていること | なぜ好きなのかを説明できるか。何年続いているか |
| 日常で気になって仕方がないこと | つい直したくなること、もったいないと感じること |
| うまくいかなかったこと | 悔しかったこと、できなかったこと。原因を自分なりに考えたか |


4つ目は見落とされがちですが、実は強い素材になります。
うまくいかなかった経験には、なぜそうなったのかを考えた跡が残っているからです。
考えた跡は、そのまま②の発見につながります。
見つけ方1:高1からの時系列で棚卸しする
学年ごとに、印象に残っている場面を書き出します。授業、部活、家、アルバイト、休日。1つにつき2行で十分です。
10個ほど書き出すと、同じ話題が2回3回と出てきます。
繰り返し出てくるものが、自分の関心の中心です。
1つの場面だけを思い出そうとするより、量を出してから重なりを探すほうが早く見つかります。
見つけ方2:「なぜ」を3回掘る
一言で終わっている興味に、「なぜ」を繰り返します。実際に掘るとこうなります。
- 「人に教えるのが好き」
- なぜ好きなのか →「どう言えば伝わるかを考えるのが面白いから」
- なぜ面白いのか →「同じ説明をしても、伝わる相手と伝わらない相手がいるから」
- いつそう思ったのか →「小学校と中学校の授業にあった、分かった人が教える時間」
ここまで掘って、ようやく書ける場面になります。最初の一言のままでは、誰が書いても同じ文章にしかなりません。
見つけ方3:人に聞く
自分の当たり前は、自分では見えません。だから、外から見てもらいます。家族、友人、部活の仲間、先生。誰でも構いません。
- 私がよく話している話題は何か
- 私が長く続けていることは何か
- 私が急に真剣になるのは、どんなときか
- 私が人から頼られるのは、どんなことか
他人から見た自分は、自分の記憶より具体的なことが多いものです。
「そういえば、いつもその話してるよね」と言われたところに、素材が埋まっています。



自分では普通すぎて素通りしている話を、他の人は覚えています。一度聞いてみてください。
見つけ方4:志望する学部の学びから逆にたどる
どうしても出てこないときは、学部の側から探します。シラバスや研究室のテーマを見て、引っかかる言葉を拾う。その言葉になぜ反応したのかをたどると、自分の経験に行き当たることがあります。
ただしこれは最後の手段です。学部に合わせて経験を作るのではなく、あくまで思い出すきっかけとして使います。
①経験から②発見を見つけ方
場面は書けたのに発見が出ない、という状態はよくあります。そのときは、次の問いを自分に投げます。
- そのとき、何が意外だったか
- 自分が思っていたことと、実際はどう違ったか
- なぜそれが起きたと思うか
- 同じことが、別の場面でも起きていないか
効くのは最後の問いです。
1つの場面で気づいたことが、別の場面でも起きていると分かった瞬間、それは個人の感想ではなく自分の見方に変わります。
この記事で紹介するOK例も、そこで発見が生まれています。人に教えていて相手が詰まった場所と、自分が理科や社会でつまずいた場所が同じだった。2つの場面が重なったところが、②の発見になりました。


経験が複数出てきたときの選び方
素材が複数出たら、次の3つで選びます。
- ④で書く学部の学びと、つながっているか
- 自分が一番長く話せるか
- 面接で掘り下げられても、答えられるか
数を並べる必要はありません。志望理由書に入る経験は、基本的に1つで足ります。複数入れると、どれも浅くなります。
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4つのブロックで詰まるポイントと解き方
ブロックごとに、手が止まる場所は決まっています。自分がどこで詰まっているかを先に見つけると、直すのが早くなります。
| ブロック | 詰まったときに出てくる言葉 | 詰まりの正体 |
|---|---|---|
| ①経験・事象 | 書けるような経験がない | 立派な活動を探している |
| ②発見 | 気づいたことが出てこない | 一般論の言葉で終わらせている |
| ③成し遂げたいこと | 将来やりたいことが決まっていない | 職業名で答えようとしている |
| ④勉強したいこと | 学部のことがよく分からない | パンフレットの言葉しか見ていない |


①経験で詰まる:「書けるような経験がない」
受賞歴や留学経験を探しているうちは、いつまでも見つかりません。
探す場所は、没頭したこと、続いていること、日常で気になっていること、うまくいかなかったこと。
この記事の前半で挙げた4か所に降りていきます。



それでも出てこないときは、自分では見えていない可能性が高いので、人に聞くのが早道です。
②発見で詰まる:「気づいたことが出てこない」
「教育の大切さを学びました」「協力することの大切さを知りました」で止まっているときは、発見が出ていないのではなく、一般論の言葉に置き換えてしまっています。
その場面で自分だけが見たことは何か。何が意外だったか。同じことが別の場面でも起きていなかったか。この3つを順に確認します。
ここを一般論で埋めると、そのあと何を書いても他の受験生と同じ文章になります。
③成し遂げたいことで詰まる:「将来が決まっていない」
一番多い詰まりです。ただ、これは志望理由書に職業名が必要だと思い込んでいるために起きています。職業名は必須ではありません。
解き方は3つあります。
- 職業ではなく、状態で書く。「誰の、何を、どうしたいのか」の形にする。「危険で実験ができない状況をなくしたい」で十分に成立します
- ②の発見を裏返す。発見が「イメージが持てないところで人はつまずく」なら、③は「イメージを持てる状態をつくりたい」になります。②が書けていれば、③はほぼ自動的に出てきます
- 今わかっている範囲で書く。高校生の時点で人生が決まっている必要はありません。ただし「まだ決まっていません」とは書かず、今の時点でどちらに向かっているかを書きます



将来が決まっていないから書けない、ではありません。②の発見が書けていないから、③が出てこないのです。
④勉強したいことで詰まる:「学部のことがよく分からない」
調べても書けないときは、探す対象が決まっていないまま調べています。順番を変えます。
- ③でやりたいことに必要な力を、先に2つか3つ書き出す
- その力を扱っている科目・研究室・実習を探す
- 見つかったものだけを書く
学科名やアドミッションポリシーの言葉では差がつきません。科目名や研究テーマまで降りると、他の大学では書けない文になります。
ここまで調べても結びつかないときは、③がまだ抽象的な可能性があります。その場合は④で粘らず、③に戻ります。
詰まったら、1つ前のブロックに戻る


原則はこれだけです。詰まっているブロックそのものではなく、1つ前に原因があります。
| 詰まっているブロック | たいていの原因 |
|---|---|
| ②発見 | ①経験の場面が浅い。いつ・どこで・何があったかが書かれていない |
| ③成し遂げたいこと | ②発見が一般論になっている |
| ④勉強したいこと | ③がまだ抽象的で、探すものが決まっていない |
①で詰まったときだけは、前のブロックがありません。そのときは自分の中を掘るのをやめて、外に頼ります。時系列で棚卸しするか、人に聞くかの2択です。
何をしても進まない場合は、是非お話に来てください!我々が様々な質問をして紐解きます!
4ブロックの型は、国が示している内容に沿っている
この4ブロックは、塾が考えた独自の型ではありません。国が示している選抜の要項に沿った形です。
志望理由書の正式名称は「大学入学希望理由書」
文部科学省の令和9年度大学入学者選抜実施要項では、この書類は「大学入学希望理由書」と呼ばれています。大学によって志望理由書、入学希望理由書、志望動機書と名前が違うのはこのためです。呼び方が違っても、求められている中身は同じです。
要項が求めている3つの内容
同じ要項には、こう書かれています。
大学入学希望理由書や学修計画書を活用する際には、各大学が、学部等の教育内容を踏まえ、入学志願者に対し、入学希望理由や入学後に学びたい内容・計画、大学卒業後を見据えた目標等を記載させる。(令和9年度大学入学者選抜実施要項)
求められているのは、入学希望理由、入学後に学びたい内容と計画、卒業後を見据えた目標の3つです。4ブロックの②から④とほぼ重なります。
さらに総合型選抜については、詳細な書類審査と時間をかけた丁寧な面接等を組み合わせる入試方法であること、志願者本人が記載する資料を必ず評価に活用することも明記されています。志望理由書は添え物ではなく、必ず読まれて評価される書類です。


志望理由と将来が別の設問になっている大学もある
要項が「大学入学希望理由書や学修計画書」と2つを並べているとおり、志望理由と学修計画・将来の展望が、別の書類や別の設問になっている大学があります。
その場合も、4ブロックを作り直す必要はありません。素材は同じまま、どのブロックをどの設問に配るかを決めるだけです。
| 設問 | 配るブロック |
|---|---|
| 志望理由の欄 | ①経験・事象、②発見、③成し遂げたいこと |
| 学修計画・将来の欄 | ③を短く置き直したうえで、④を厚く書く |
③を両方の設問に少しずつ置くのがコツです。こうすると、別々に見えていた2枚の書類が1本の線でつながります。
様式は大学ごとに違います。字数も欄の数も違うので、必ず志望校の募集要項で確認してください。
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よくある構成テンプレートとの違い
志望理由書の構成を調べると、いくつかの型が出てきます。どれも間違いではありませんが、志望理由書に向いていないものもあります。
| よくある型 | 向いていない理由 |
|---|---|
| 起承転結 | 物語の型で、意外な展開を作る「転」が入る。志望理由書に意外性は要らない |
| 3段構成(結論・理由・まとめ) | 主張の正しさを論じる型。志望理由書は論証ではなく、自分と学部のつながりを示す文章 |
| きっかけ→大学で学びたいこと→将来 | 最も普及している型。ただし発見が抜けやすく、将来が最後の飾りになりやすい |


「きっかけ→大学→将来」型との違いは2つ
一番よく見かけるのが3つ目の型です。4ブロックとの違いは2点だけです。
- ②発見を独立したブロックとして立てている
- ③成し遂げたいことを、④大学の話より前に置いている
この2点を入れ替えるだけで、文章の説得力が変わります。発見を独立させると、なぜその分野に進むのかが自分の言葉になります。やりたいことを大学より前に置くと、学部が目的を叶える手段として選ばれた形になります。
型は同じでも、中身の出どころが違う
テンプレートに沿って書いた志望理由書が似通ってしまうのは、型のせいではありません。
型に入れる中身を、世の中で言われていることから持ってきているからです。
4ブロックの型でも、②発見に「教育の大切さを学びました」と書けば、他の受験生と同じ文章になります。中身が自分の経験から出ているかどうかが、構成以上に効きます。



型を変えても文章は変わりません。変わるのは、中身をどこから持ってきたかです。
例文で流れを確認する
ここまでの型を使って書いたOK例と、同じ素材で書いたNG例を並べます。素材はどちらも同じ受験生のものです。人に教えるのが好きで、3Dや仮想空間を教育に取り入れたいと考えている、情報系学部の志望者という設定です。
OK例:この型で書いた志望理由書(796字)
大学名や研究室名は伏せています。
私は、教育の現場に3Dや仮想空間の技術を届けるための研究がしたいと考え、貴学◯◯学部◯◯学科を志望します。
きっかけは、小学校と中学校の授業にあった「分かった人は、まだの人に教える」時間です。私はこの時間が好きで、いつも進んで手を挙げていました。ただ、同じ説明をしても、伝わる相手と伝わらない相手がいました。この人が理解できるようにするにはどう言えばいいのだろうと考え、言い方を変え、図をかいて説明し直す。その過程が、私にはとても面白いものでした。
一方で私自身にも、教科書を読むだけでは像が結ばない場面がありました。特に理科と社会です。理科では、薬品や高温を扱う実験は危険や設備の都合で実際にはできず、結果だけを覚えることになりました。歴史でも、当時の町の様子を文章から想像するしかなく、覚えた年号と出来事が自分の中でつながりませんでした。教える側に回ったとき、相手がつまずいていたのも、まさに同じ「イメージが持てない」場所でした。
ここから私は、理解が浅いまま止まる原因の一つは、体験できないことにあると考えるようになりました。危険で再現できない実験も、もう存在しない町並みも、3Dや仮想空間であれば安全に、何度でも体験できます。
そこで貴学では、3Dや仮想空間を作る技術と、それを学習に結びつける方法の両方を学びたいと考えています。◯◯研究室では、仮想空間を用いた学習支援の研究に取り組まれており、技術を作ることだけでなく、それが学習者にどう届くかまでを扱っておられます。作る側と教える側の両方に関心がある私にとって、最も学びたい環境です。
将来は、研究を通して新しい教材のかたちを提案し、それを実際の学校で使える状態にして広げていく立場に立ちたいと考えています。作って終わりにするのではなく、現場の先生が無理なく使えるところまで見届けたい。そのための土台を、貴学で身につけたいと考えています。
この例文がOKな理由
4つのブロックが、1本の線でつながっているからです。
- ①経験:分かった人が教える時間で、伝わる相手と伝わらない相手がいた
- ②発見:相手がつまずいていたのは、自分が理科や社会でつまずいたのと同じ「イメージが持てない」場所だった
- ③成し遂げたいこと:体験できないことを、安全に何度でも体験できるようにしたい
- ④勉強したいこと:3Dや仮想空間の技術と、それを学習に結びつける方法
教える経験と、自分がつまずいた経験が、②の発見で1つに結ばれています。ここで結ばれているから、3Dや仮想空間という話が唐突に見えません。



うまい文章だから伝わるのではありません。経験とやりたいことが、一本でつながっているからです。
NG例:同じ素材で書いた志望理由書(778字)
同じ素材で、つなぎ方だけを変えたものです。
近年、教育現場ではICT化が急速に進み、タブレットや電子黒板の導入が当たり前になってきました。その一方で、生徒の学力格差は広がっているとも言われています。私はこうした現状を変え、誰もが楽しく学べる教育を実現したいと考え、貴学◯◯学部◯◯学科を志望します。
私は昔から人に教えることが好きで、まわりからも教え方が上手だと言われてきました。勉強が苦手な友人に教えたときに感謝された経験は、今でも私の財産です。この経験から、私は教育の大切さを学び、将来は教育に関わる仕事がしたいと思うようになりました。また、高校時代は部活動にも力を入れ、仲間と協力することの大切さや、最後までやり抜く力を身につけました。この経験は大学生活でも必ず生きてくると思います。
そして今、私が最も関心を持っているのがメタバースです。メタバースは今後あらゆる分野で活用が期待されており、教育分野でも大きな可能性を秘めています。仮想空間を使えば、生徒は楽しみながら学ぶことができ、学習意欲も高まると考えます。すでに海外の学校では導入事例もあると聞いており、日本でも同じように広がっていくはずです。私はこの新しい技術を学び、これからの教育に生かしたいと考えています。
貴学は施設や設備が充実しており、熱心な先生方のもとで幅広い分野を学ぶことができます。自由な校風にも魅力を感じ、ここでなら自分を成長させられると思いました。アドミッションポリシーにある、主体的に学び続ける人材という点も、私に合っていると考えます。入学後は勉強はもちろん、サークル活動やボランティアにも積極的に参加し、充実した大学生活を送りたいです。
将来は、メタバースを活用した革新的な教材を開発し、日本中の子どもたちに感動を与えられる人材になりたいと考えています。そして、教育の未来を変えることで、社会に大きく貢献していきたいです。
決定的な違いは、②の発見がないこと
このNG例には、教えるのが好きという話と、メタバースに関心があるという話が、別々に置かれています。両者をつなぐ発見がありません。
OK例では、「相手がつまずいていたのは、イメージが持てない場所だった」という発見が2つを結んでいます。この一文があるかないかで、3Dや仮想空間に進む理由が必然に見えるか、思いつきに見えるかが変わります。
読み手からは、教育に関心があって、たまたま流行の技術も好きな人に見えてしまいます。


そのほかに直したい6点
| # | 直したい点 | 該当箇所 |
|---|---|---|
| 1 | 社会の話から始まり、自分が出てくるのが遅い | 第1段落 |
| 2 | 原体験に場面がない。好きと感謝されたことしか書かれていない | 第2段落 |
| 3 | 部活の話が本筋と無関係で、素材の寄せ集めになっている | 第2段落後半 |
| 4 | 技術を選んだ根拠が伝聞。自分の観察がない | 第3段落 |
| 5 | 大学名を差し替えても成立する。設備、熱心な先生、自由な校風、アドミッションポリシーの引き写し | 第4段落 |
| 6 | 将来が抽象的。何を研究し、誰にどう届けるのかがない | 第5段落 |
構成が崩れる3つのパターン


書き上げたあと、構成が崩れていないかを確認します。崩れ方は3つに分かれます。
①ブロックが抜ける
一番多いのは②発見の欠落です。経験は書いてある、やりたいことも書いてある、でも間がない。読み手には、その2つが別々の話に見えます。
見分け方は簡単です。経験の段落とやりたいことの段落の間に、自分が気づいたことを書いた一文があるか。なければ、そこが抜けています。
②発見が出てこないのは、多くの場合、素材の掘り下げが足りていないからです。
②順番が入れ替わる
大学の話から書き始めてしまうパターンです。「貴学は◯◯に力を入れており」で始まると、そのあとに何を書いても、大学に合わせて理由を作ったように読めます。
直し方は、段落を入れ替えるだけです。多くの場合、書き直しは要りません。並べ替えると、それだけで筋が通ることがあります。
③1つのブロックだけ肥大する
経験の話が楽しくなって、字数の半分以上を使ってしまうパターンです。逆に、大学の話だけが長く、自分の経験が2行しかないケースもあります。
どのブロックも、極端に長いか短いかは崩れのサインです。次に挙げる分量の目安と照らし合わせてください。
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字数に合わせて構成を調整する
志望理由書の指定字数は、600字、800字、1200字など大学によってさまざまです。同じ4ブロックでも、字数によって厚みの置き方を変えます。
ブロックごとの分量の目安


800字で書いた場合、各ブロックにどれくらい配分するかの目安です。この記事で紹介したOK例の実際の配分を出しました。
| ブロック | 字数 | 割合 |
|---|---|---|
| ブロック | 字数 | 割合 |
| 冒頭の宣言 | 53字 | 7% |
| ①経験・事象(教えた場面) | 170字 | 21% |
| ①経験・事象(自分のつまずき) | 192字 | 24% |
| ②発見・③成し遂げたいこと | 99字 | 12% |
| ④勉強したいこと | 155字 | 19% |
| 締め(将来の立ち位置) | 126字 | 16% |
経験に4割強を使っているのが特徴です。②発見は1割ほどで、量は少ないのに文章全体を支えています。短くていいので、必ず入れます。
逆に、④大学の話が3割を超えていたら、調べたことを並べすぎている可能性があります。
字数別の落とし所
| 指定字数 | 書き方の目安 |
|---|---|
| 指定字数 | 書き方の目安 |
| 600字 | 4ブロックを各1〜2文ずつ。経験は場面を1つだけに絞る |
| 800字 | 最も書きやすい標準形。経験と発見を厚めにし、大学の話は具体を2点まで |
| 1200字以上 | 経験を2つに増やすか、④の学修計画を年次ごとに具体化する。字数を埋めるために一般論を足さない |
設問が分かれているときの配り方
志望理由と将来の展望が別設問の場合は、先に全部通しで書いてから分けます。1本の線で書いてから切り分けると、2枚の書類の話がずれません。最初から別々に書くと、志望理由と学修計画が別人の文章のようになります。
志望理由書は「盛る」より「深める」で決まる
パスハックは、愛媛県松山市の総合型選抜専門塾です。志望理由書の指導では、書き方を教える前に、書く材料を掘るところから始めます。
気づいていない経験を、1つずつ引き出す
パスハックの講師は、社会でさまざまな仕事を経験してきた社会人です。学校と塾の中だけを見てきた指導とは、引き出せる範囲が変わります。
授業では、志望理由の話からは始めません。趣味、好きなこと、時間を忘れて没頭したこと、日常で気になっていること。そうした話を1つずつ聞いていきます。
本人が「これは受験に関係ない」と思っている話の中に、志望理由の出発点があることがほとんどだからです。
高校生が雑談の中で何気なく口にしたことに対して、「それは書ける経験です」と気づけるかどうか。ここが指導の分かれ目です。実績を新しく作るのではなく、すでに持っているものに気づいてもらうところから始めます。
構成の型は、この記事を読めば分かります。難しいのは、「教えるのが好き」で止まっている状態から、その人にしか書けない場面を引き出すところです。
書類と面接をつなげて設計する
志望理由書は、そのまま面接の台本になります。パスハックでは書類を書く段階から、面接で何を聞かれるかを想定して設計します。想定問答を覚えさせるのではなく、どんな聞かれ方をしても自分の言葉で答えられる状態をつくります。
オンラインでも同じ指導が受けられる
パスハックはオンラインにも対応しています。近くに総合型選抜を見てくれる塾がない地域の高校生も、松山の教室と同じ内容の指導を受けられます。



志望理由書は、うまい文章を書く勝負ではありません。自分の経験をどこまで掘れたかの勝負です。掘るところは、一緒にやりましょう。
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まとめ
志望理由書の構成は、4つのブロックで考えます。
- 経験・事象:実際にあった場面を1つに絞って書く
- 発見:その場面で自分が気づいたことを書く。ここが一番差がつく
- 成し遂げたいこと:発見をもとに、解決したい課題を具体的に書く
- 勉強したいこと:それを実現するために学部で学ぶことを書く
この4つが1本の線でつながっていれば、志望理由書は伝わる文章になります。逆に、経験とやりたいことの間に②の発見がないと、同じ素材でも思いつきに見えてしまいます。
指定字数が変わっても、4ブロックの並びは変えません。変えるのは各ブロックの厚みだけです。志望理由と将来の展望が別設問になっている場合も、素材は同じまま配り方を決めます。
そして、①経験と②発見が決まれば、残りの2つは半分決まります。手が止まったら、構成を疑う前に①と②が埋まっているかを確認してください。
監修者


長岡 孝樹
総合型選抜専門塾パスハック 代表
塾講師・フリースクール講師としてキャリアをスタート後、 ITベンチャーや上場企業でWebマーケティングを経験。 サイト運用から広告ディレクションまで幅広く担当。
IT寺子屋では小学生へのプログラミング指導に携わる。 現在は愛媛県松山市にて総合型選抜専門塾「パスハック」 を運営。自らも総合型選抜で電気通信大学に合格した実績を持つ。





