生成AIが受験を変えている今、総合型選抜で勝つために本当に必要なこととは。

生成AIと総合型選抜。

一見、関係なさそうなこの2つのテーマが、今まさに交差しています。大学側の対応は二極化し、受験生は「AIを使っていいのか、ダメなのか」と戸惑っている。保護者も、どうアドバイスすればいいかわからない。

この記事では、生成AIの登場から4年間、自分自身もAIを使いながらビジネスをしてきた私が、総合型選抜とAIの関係について率直にお伝えします。受験生にも、保護者にも、ぜひ最後まで読んでいただきたい内容です。

結論から言います。生成AIは使っていい。でも、自分の言葉で書くこと。これが絶対に外せない一線です。


目次

はじめに:受験の世界が、静かに、しかし確実に変わっている

生成AIの進化が止まらない。

ChatGPTの登場から約3年。今やAIは文章を書き、画像をつくり、動画を生成し、ビジネスの意思決定まで担うようになった。ITだけでなく、医療・法律・教育・クリエイティブ、あらゆる業界でその波は押し寄せている。

そして今、その変化の波は受験の世界にも確実に到達している。


ニュースで見る「総合型選抜 × 生成AI」の今

大学側の対応は、大きく二極化している。

「禁止」に動く大学

上智大学は2025年度の推薦入学試験において、出願書類の作成にChatGPTなどの生成AIを使用することを明確に禁止している。青山学院大学も同様に、自己推薦の出願書類について生成AIの使用禁止を打ち出している。

大学側の懸念は明確だ。「受験生自らが考え、記入するという作業がAIで代替されてしまい、受験生本人の資質や意志、そして大学や学問に対する姿勢がわからなくなってしまう」というものだ。

参考:一部に受験生へ使用禁止を打ち出す大学も。そこに込められた大学側の懸念と、これからの大学入試のゆくえとは|代ゼミ教育総研

さらに河合塾は2024年、志望理由書が生成AIによって書かれたものかどうかを判定する「AI判定システム(β版)」を開発。大学入試の現場に、AIの”目”が入り込み始めている。

参考:大学入試の出願書類における大学側の課題を解決!出願書類が生成AIで作成された可能性を判定するシステム(β版)を開発|河合塾グループ

「活用」に踏み込む大学

一方で、真逆の動きをする大学もある。

iU(情報経営イノベーション専門職大学)は、2027年度入学者選抜(2026年度実施)より、総合型選抜において「生成AI活用型」の選抜方式を新設することを決定した。「iUはAI大学になる!」という方針のもと、いかに生成AIを使いこなせるかを入試に組み込むという、まさに時代の転換点を象徴する取り組みだ。

参考:iU、全学的なAI導入方針「iUはAI大学になる!」を決定 2027年度入学者選抜に「生成AI活用型」選抜方式を新設|PR TIMES

文部科学省も動き出した

こうした動きは大学だけにとどまらない。文部科学省は2024年8月、「大学入学者選抜における生成AIの取扱いについて」という指針を公表した。各大学が生成AIの取扱いルールを募集要項に明記することが期待されると示されている。

注目すべきは、文科省が示した大学の具体的な対応例だ。

  • A大学:「出願書類は、アドミッション・ポリシーを参照し、自身で考えて作成してください」
  • B大学:「生成AIによって生成されたものを受験生独自の成果物とは一切みなしません」
  • C大学:「不正が疑われたり、入学後に学修上のミスマッチが起きたりしないよう、自らの責任において十分に考えたものを提出してください」

禁止・活用、どちらの立場をとる大学も、文科省も、共通して言っていることがある。「自分で考えること」だ。

参考:大学入学者選抜における生成AIの取扱いについて|文部科学省

受験生が迷うのは、当然だ

禁止する大学、活用を評価する大学。

「AIって使っていいの?ダメなの?」

受験生が混乱するのは、むしろ当たり前だと思う。

ただ、ここで立ち止まって考えてほしい。どちらの大学にも共通していることがある。

それは、「あなた自身の考えを見たい」という点だ。


生成AIが出てきて4年。わかったこと。

私自身、生成AIが登場したとき、正直震えた。

「これは革命だ」と。

同時に、恐怖もあった。人間の仕事が消えていくのではないか。自分の脳が退化していくのではないか。

あれから4年。今では生成AIを使って仕事をし、自分のビジネスにも活用している。記事の生成、画像制作、動画の編集、アイデア出し、データ分析——AIは驚くほど高精度にこなす。

さらに私は現在、地方の中小企業や個人事業主向けにAI活用支援の仕事もしている。「AIが必要なのはわかっているけど、何から始めればいいかわからない」という方たちと一緒に、その一歩を踏み出す支援だ。

なぜこの仕事をしているのか。それは、AIと共存することが重要になっている今、自分自身がAIの最前線で動き続けることに意味があると思っているからだ。実際に使い、試し、失敗し、改善する。その経験があるからこそ、受験生にも保護者にも企業様にも「こう使えばいい」と自信を持って伝えることができる。

そして使い続けてわかったことがある。

AIが出した答えには、「人間らしさ」がない。

AIはどれだけ精度が高くても

  • 「楽しい」と感じた瞬間を知らない。
  • ある言葉に心を動かされた経験がない。
  • ある情景が心に沁みた、あの感覚がない。

それはあなたが生きてきた時間の中にしかないものだからだ。

私が出した答えは「共存」だった。AIが出した答えに、いかに自分の体験・感情・視点を乗せられるか。それが人間にしかできないことだ。


総合型選抜こそ、「自分らしさ」が1番問われる入試だ

総合型選抜では、あらゆる角度から問いが飛んでくる。

  • あなたはどんな人間ですか?
  • なぜこの大学を志望するのですか?
  • 何を学びたいのですか?
  • 入学後、どんな学生生活を送りたいですか?

志望理由書も、面接も、小論文も、すべてにおいて問われているのは「あなた自身」だ。

文章が多少拙くてもいい。完璧な日本語でなくていい。自分の頭で考え、行動に移したプロセスこそが、審査官の心を動かす。

生成AIは「それっぽい志望理由書」を10秒で書ける。しかしそれは、どこかの予備校サイトに転がっている例文の寄せ集めに過ぎない。「あなた」がテニス部だとも、どの大学を目指しているかも、AIには知る由もない。

総合型選抜が求めているのは「完璧な文章」ではなく、「あなたそのもの」だ。


Path Hackの考え方:「盛らない。深める。」

私たちPath Hackには、一つのポリシーがある。

「盛らない。深める。」

総合型選抜の指導において、よく見られるのが「いかに自分をよく見せるか」という方向に走ってしまうケースだ。しかしそれは本質的ではない。審査官はプロだ。「盛られた」志望理由書は、すぐに見抜かれる。

私たちの指導はシンプルだ。

まず、生徒に自分の言葉で、感情のままに書かせる。文章の上手い下手は関係ない。「この大学に行きたい」「この分野を学びたい」その気持ちを、そのまま言葉にしてもらう。

そしてその文章を読んで、講師が「ん?」と思った部分に質問を投げかける。

「なぜここでこう感じたの?」「この経験、もっと教えてくれる?」

生徒は、点として持っている体験や感情をたくさん持っている。自分ではまだ気づいていないが、潜在的にはしっかりと感じている。それを丁寧に紐解いていく。それが私たちの仕事だ。

AIが生み出した文章には、このプロセスがない。だから薄い。だから見抜かれる。


自己理解が、すべての答えになる

この指導を通じて生徒に起きる変化がある。

自分のすべきことが、明確になる。

  • 自分はどんな人間なのか
  • なぜこの大学でなければならないのか
  • 何を学びたいのか
  • どんなキャンパスライフを過ごしたいのか
  • 将来どうなりたいのか

これらが腑に落ちた瞬間、どんな質問が飛んできても動じなくなる。志望理由書も、面接も、小論文も、すべてが「自分の言葉」で語れるようになるからだ。

そしてここが大切なのだが、これは受験のためだけの作業ではない

自己理解は、これから生きていく上で最も重要な力の一つだ。自分が何者で、何をしたくて、どこへ向かっているのか——それが明確な人間は強い。


AIをどう使うか。Path Hackの答え

ではPath Hackは、生成AIの活用をどう考えているのか。答えは明確だ。

考える道中でAIを使うことは、何も悪いことではない。

アイデアを整理したい、情報をインプットしたい、文章の構成を確認したい、そういう場面でAIを使うことは大いにアリだ。AIは優秀なパートナーになり得る。

ただし、AIの答えを丸呑みするな。

AIが出した文章を見たら、必ず自分の頭で問い直す。「自分はどう思うか?」「この内容、本当に自分の体験と一致しているか?」「自分の言葉で言い直すとしたら?」その一手間が、あなたの言葉を本物にする。

文科省が示した大学の対応例でも、どの大学も「自身で考えて作成する」「自らの責任において十分に考えたものを提出する」という姿勢を求めている。これはAIの禁止・活用に関係なく、すべての受験生に共通して問われていることだ。

AIを使ってもいい。でも最後は、自分の言葉で書くこと。これが、唯一にして最大のルールだ。

総合型選抜においては特に、この「一手間」が合否を分ける。


最後に:山の頂上さえ見えていれば、進める

生成AIが普及し、社会は目まぐるしく変化している。今後も、様々な外的要因によって進路や考え方が揺さぶられる場面は必ず来るだろう。

でも、それでいい。

山の頂上さえ見えていれば、どんな道を歩いても必ず進める。

Path Hackが目指すのは、「合格」だけではない。

「僕は、私は、これをしたくてこの道に進んでいます。今すごく辛いけど、楽しいです。」

そう言って、自分の人生を歩んでいける人間を育てること。それが私たちの使命だ。

生成AIは敵ではない。うまく使えば最強のパートナーになる。でも総合型選抜で最後に評価されるのは、あなたの言葉、あなたの体験、あなたの思考だ。

生成AIと共存しながら、自分の言葉で、自分の頭で考えること。

それがこれからの受験生に、最も必要なことだと私たちは信じている。

パスハック 代表  長岡 孝樹


監修者

塾講師・フリースクール講師としてキャリアをスタート後、 ITベンチャーや上場企業でWebマーケティングを経験。 サイト運用から広告ディレクションまで幅広く担当。

IT寺子屋では小学生へのプログラミング指導に携わる。 現在は愛媛県松山市にて総合型選抜専門塾「パスハック」 を運営。自らも総合型選抜で電気通信大学に合格した実績を持つ。

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